全館空調の維持費が割高であることの報告と、他の冷暖房器具との比較

2015年4月3日

<初めに>
全館空調を設置してたった5年目の冬、コンプレッサーが故障し、その修理に24万円もかかりました。修理代は、家の大きさで変わるらしいですが20万円前後が相場なようです。雪の降る中、直るまで1週間かかりましたが、その間、他の暖房器具との比較ができました。いいデータが取れました。これを機に最善の冷暖房装置は何かを検討しました。1週間の中での実験データしかないのですが、それなりに信頼性のある結論を導けたと思っています。しかし、これは当環境のみに適用できる結論かもしれませんので、最終的なご判断は、御覧のみなさまの責任でもって行ってください。なにぶん高額ですので。また、メーカー名はあえて書きませんが、業界トップクラスのメーカーです。

<我が家の空調の環境>
同一建物内に事業所と住居があり、全館空調1台で冷暖房をまかなっています。住居部分はオープンリビングで、玄関フロア〜リビング〜キッチン〜廊下が連結しています。気密性能の目安として、外気温の日平均温度が2℃の時、室内温度を21℃を保つのに、0.05kw/坪の電力か必要で、外気温の日平均温度が26℃の時、室内温度を23℃に保つために0.01kw/坪の電力が必要。所在地は栃木県北部・大田原市

<結論>
●快適な温度を獲得しつつも、冷暖房を安く維持したいと望むなら、灯油を利用することで、年間の冷暖房費は全館空調の時の「半額」程度に抑えられます。例えば、夏に消費電力(冷房能力ではなく)0.01kw/坪を補える家庭用エアコンを家の高層階の適当な処に設置して、冬に0.05kw/坪を補える石油ストーブを低層階に設置することで、温度調節を手動でしないといけませんが、これでも全館ほぼ均一の温度に管理できそうです。「吹抜けで寒い」とかいうお家は、純粋に暖房出力が足りていないんです。冷房には大してお金がかかりません。お金がかかるのは暖房です。
さらにローコストを求めるなら、オープンリビングは避けるべきです。リビングを仕切り、リビングのみ暖房できるようにすれば、暖房費は格段に減るのは明らかです。オープンリビングにすると、リビングを適温にするために結局、家全体を適温まで冷暖房することになります。

●維持費を安く願いつつも、石油ガスを嫌い電気式暖房を利用する場合、全館空調と個別空調での年間冷暖房維持費はほぼ同額です。石油を使いたくないのでしたら、導入費と修理代は高いですが、半自動で快適便利な全館空調がお勧めです。
改めて書きますが、家中をほぼ均一に冷暖房するだけなら、全館空調でなくとも、家庭用エアコンでの冷房と石油ストーブでもできそうです。部屋、トイレ、風呂場のドアを少し開けておかないといけませんが、家に適当な気密があって、冷暖房器具が必要量どこかにあれば、例えば外気温平均2℃の時、石油ストーブ周囲21℃で、トイレ19℃程度の差の範囲内で、家中ほぼ均一な設定温度にできそうです。

●では、全館空調の利点は何か。「半自動で家の『隅々まで』均一な温度を保てる」という便利さのみです。その便利を重視するなら全館空調ですが、維持費は、灯油暖房の2倍もすることが残念です。例えば40坪延床の家で、冬に灯油での暖房なら年間8万の冷暖房費で済むところ、全館空調だと年間で倍の14万円の冷暖房費を払うことになります。さらに、10年おきにコンプレッサの修理に20万前後かかるとして、年換算で2万円とすると、全館空調の年間の実質冷暖房費は16万円です。その差8万円。灯油を買ったり給油したり、スイッチを入れたり消したりする手間を省くのに、年間の便利代は8万円もします。40坪の家で8万円の推定なので、80坪の家では16万円。大丈夫ですか?

★本検討の不備。本検討では、個室を閉め切った状態を検討していません。もしお子さんが年頃で部屋にこもるとなると、その部屋用に冷暖房が必要になりますが、そうなった場合を検討していません。


<問題点の整理>
1)全館空調の最大の問題点(デメリット)は、異常に高額な修理代
室外機のコンプレッサ(圧縮機)の修理代がとてつもなく高額で、20万円弱〜30万円弱請求されます。メーカーは通常10年に1度の故障を想定しているようです。うちは導入5年目に27万請求されました。文句を言って24万にはなりましたが、保証期間は1年なので、2年目で故障してもこの高額な修理代を払わないと直してくれません。僕は今、今後どう維持していこうか悩んでいます。全館空調購入の際には、是非、メーカーもしくは取次店に、維持費を確認してほしい。

2)冬、全館空調をやめ、石油・ガスを使用することで、暖房費は「半額」になる試算。
試算した結果、灯油暖房とエアコン冷房で、冷暖房費は全館空調の半額に抑えられます。夏に全館空調で冬に石油ストーブでも半額を実現できます。例えば延床面積40坪で、ある程度の気密性があれば、全館空調を休止し、冬は3kwの石油ストーブ1台と夏は家庭用エアコン1台をいい場所につければ、暖房周辺と家の隅の温度差2℃程度のムラが生じる程度で十分家全体を暖められる実験結果が得られました。

3)石油ガスを使わない方針でしたら、全館空調が有利。
例えば、40坪延床で適度な気密があれば、冬、家庭用エアコン1台か1200wセラミックヒーター2台で、暖房周辺と家の隅の温度差2℃程度のムラが生じる程度で十分家全体を暖められる実験結果が得られました。低圧電力契約は、電気料金が格安に設定されていますので一見お得な気がしますが、基本使用料が割高なので、結局、同じワット数をセラミックヒーターなど電気ヒーターで使用した場合と年間冷暖房費はほぼ同額になると予想されます。10年ごとに想定されているコンプレッサー(圧縮機)の故障に20万円弱〜30万円弱の修理費用がかかるとしても、他の電気式暖房器具と維持費は同等なので、半自動の全館空調がお得。

4)全館空調では24時間加湿が必要です。スチーム式の電気代は高額になりますので避けるべし。
平均気温が2℃程度の時、30ml/坪の加湿器で湿度35%にようやくできます。個別の部屋のみを高湿度にすることは難しく、全館を均一に加湿することを目指すと制御できます。灯油やガスを燃焼させると二酸化炭素と水が発生しますので若干の加湿能力があります。40坪の家で、平均気温2℃の日、室温を石油ストーブで21℃に維持する時、4%程度の湿度の上昇が見込まれます。エアコンに加湿機能はないので、外気温平均2℃の時、室温21度に保つ際加湿を怠ると16%前後になります。加湿器には種類があり、1時間500ml加湿能力のある製品の電気代を比較すると、気化式の場合の電気代は、月300円、ハイブリットで1500円、おどろくなかれ、スチーム式は5300円!!超音波式は体によくなさそうなので論外。外気温平均2℃の時、室温21℃にする際、37坪を湿度35%にするためには、1時間500ml加湿能力の加湿器×2台が必要です。気化式2台なら600円/月で済みますが、スチーム式2台の時は10600円/月!!お勧めは気化式加湿器。くれぐれもスチーム式加湿器は全館空調でお使いにならないように。ただでさえ維持費で苦しむのに、それ以上の苦しみは避けてください。

5)全館空調の唯一の利点は、「『半』自動的に家の隅々までが均一に設定した温度に維持される」こと。
ただ家全体を快適な温度にしたいだけでしたら、別に全館空調は必要ありません。石油ストーブやセラミックヒーターでも、十分量の発熱量があって、トイレやお風呂のドアを閉め切らなければ実現できます。しかも、石油ガス暖房なら年間冷暖房代は半額です。40坪の家だと9万円相当の差額。全館空調の唯一の利点は、冬や夏、家の隅々まで自動的に設定温度になることですが、これはとても素晴らしい。すごい便利な機能ですが、年間9万円相当(延床40坪)もする機能です。

6)「半」自動的なので、快適を維持する微調整は「手動」です
「半」の理由。空気の流れを考慮して、冬は1階の風量を増やし、夏は2階の風量を増やす調整が必要。怠ると、夏、2階が酷暑で、冬、1階が極寒になります。最も大変なのは春と秋。調整を怠ると、リビングなどは21℃で気持ちがいいけど、パソコンや人が多い事務所などは30℃の局所真夏日になります。これを解消するために、ピンポイントでの「手動」の調整が必要になります。結構面倒くさいです。

<考察の詳細>

一般的に、エアコン消費電力1kwで4kwの発熱量があると言われがちですが、当家においてはエアコン1kwで発熱量1kwでした。まずその証明をします。

@エアコン消費電力1kw≒暖房能力(発熱量)1kwの証明<真冬において>


まず我が家の2014年の1時間あたりの平均電気使用量と、その時の外気温の関係を分析しました。



外気温と空調の消費電力の関係が分かりました。
次に、上の表を利用し、室内を21℃に保つために必要な電力を「必要電力/h」と表し、セラミックヒーター1000w≒カセットガスストーブ1時間燃焼=発熱量1kwとして、1時間平均の熱量を「実熱量/h」と表し、、故障から復旧までに使用した暖房と、その時の室温、必要電力と、実熱量をまとめてみます。

故障から復旧までに使用した暖房と、その時の室温、必要電力と、実熱量
  住居  事業所  最低気温  平均気温 必要電力/h   実熱量/h 室内温度 
 2/3   8:00故障に気付く       事業所17℃ 
 8:00〜12:00セラミックヒーター1台4.8kwh
 8:00〜12:00カセットガスストーブ3台12kwh
  -5.7 1.6    4.5kw   3.15kw 事業所21℃
住居17℃
   12:00〜22:00 セラミックヒーター2台24kwh  12:00〜22:00カセットガスストーブ3台30kwh  セラミックヒーター
1台追加
   22:00〜24:00セラミックヒーター1台2.4kwh  22:00〜24:00セラミックヒーター1台2.4kwh
     
 2/4  〜8:00セラミックヒーター1台9.6kwh  〜8:00セラミックヒーター1台9.6kwh  -6.1  1.1   5kw   3.9kw  
   8:00〜20:00セラミックヒーター2台28.8kwh  8:00〜20:00カセットガスストーブ3台36kwh     事業所21℃ 
   夜セラミック1台4.8kwh  夜セラミック1台4.8kwh      
 2/5  〜8:00セラミック1台9.6kw  〜8:00セラミック1台9.6kw -1.0  1.6 2.5〜
3.5kw 
4.3kw 
  8:00〜20:00セラミックヒーター2台28.8kwh  朝昼カセットガスストーブ3台36kwh      事業所21℃ 
   20:00〜セラミックヒーター3台14.4kwh  20:00〜セラミックヒーター1台4.8kwh     セラミックヒーター
2台追加
 
 2/6  〜7:00同上21kwh  〜7:00同上7kwh -3.4  2.1  3.5kw  4.4  事業所17℃
住居22℃
   7:00〜?   7:00〜?      事業所21℃
 2/7  〜20:00?  〜20:00?  -4.0 2.7   3.5kw 4.4   
   20:00〜セラミック2台 20:00〜セラミック2台      
 2/8  〜7:00同上16.8kwh  〜7:00同上16.8kwh +1.4 2.7   2〜
3kw 
4.4kwh 事業所21℃
居宅2階19℃
居宅1階22℃ 
   7:00〜17:00セラミック2台24kwh  7:00〜17:00セラミック1台12kwh      事業所21℃
   17:00〜セラミック2台
カセットガス1本11.4kwh
 17:00〜セラミック2台16.8kwh     全館、21℃にコントロール達成 
 2/9  セラミック2台60kwh  セラミック昼1台。夜2台48kwh  -3.4 0.1  3.5〜
4.5kw 
 4.3kwh コントロール維持 
 2/10  セラミック2台
カセットガス2本56kwh
 セラミック昼1台、夜2台、カセットガス1本43kwh  -7.7  -0.4  5kw〜
6kw
4.7kw   コントロール維持

気象庁HP2015年2月の大田原の気温のリンク

上の表から読み取れることは
エアコンでは、暖房能力(kw)は、消費電力(kw)の4倍程度であると言われていますが、この表の中では、消費電力≒暖房能力であることが読み取れます。
外気温0℃前後なので、暖房能力が低下したためかもしれませんが、少なくともこの表からは消費電力×4≒暖房能力は読み取れません。
ここから、「エアコン消費電力1kw≒セラミックヒーター1000w≒カセットガスストーブ1時間燃焼=発熱量1kw」
という式が導けました。

A全館空調以外の暖房での維持費の試算

全館空調では、一般的な電力契約(従量電灯)とは別口で、低圧電力という契約をすると思います。
つまり低圧電力での電気使用量は全て冷暖房費です。
下の表では、我が家での2014年における実際の使用量と料金の、1坪あたりの値(吹き抜けを坪数に含む)を列挙します。
さらに次の試算をします
「試算1:冬に石油ストーブ、夏に家庭用冷房を使用した場合の1坪あたりの料金の試算」
「試算2:冬にセラミックヒーター、夏に家庭用冷房を使用した場合の1坪あたりの料金の試算」
試算の条件として、燃料費調整額は考慮から外し、冷暖房のためにのみワザワザ契約しなければいけない低圧電力では基本使用料を考慮し、@よりエアコン電気消費量1kw=発熱量1Kwとし、試算1において、石油ストーブの説明書より、0.097L燃焼=1kw(熱量)=8.62円とし、試算2において、電気代、夏、1kw=28.5円(夜1kw12円・昼1kw39円・その他の時間26円のところ昼間の消費が多いことを考慮)、冬1kw21.4円(夜1kw12円・昼1kw32円・その他の時間26円のところ、夜の使用が多いことを考慮)として計算。

月々の1坪あたり(吹抜を坪数に含む)の必要エネルギーと
その代金(2014年)
   低圧電力での電気使用量/月・坪  低圧電力での冷暖房費/月・坪  試算2
セラミックヒーター/月・坪
 試算1
石油ストーブ/月・坪
 1月  41.55kwh  706円  889  358円
 2月  36.72  632  785  316
 3月  25.39  457  543  218円
 4月  13.27  271  283  114円
 5月  7.03  139  150  60円
 6月  4.03  134  86  34円
 7月  5.63  153  160 160
 8月  9.93  245  283  283
 9月  4.24  144  120  120
 10月  1.64  96  34  14円
 11月  7.34  187  157  63
 12月  20  392  428  172
 1坪あたりの年間冷暖房費    3556
(100%)
 3918
(110%)
 1912
(53%)

40坪の場合、全館空調を低圧電力でまかなった時の年間冷暖房費は14.2万円。全館空調は10年に1度の割合で故障に20万前後かかるので、年に換算して2万円を足すと16.2万円。セラミックヒーターと家庭用冷房では15.2万円。石油ストーブと家庭用冷房で7.6万円。という試算がでました。

B加湿について

下の、飽和水蒸気量のグラフを用いることで、加湿器の必要量は分かります。
ちなみに、24時間換気システムのおうちでは、1部屋のみの加湿は難しい。全館を均等に加湿しようとしてようやく理論通りに湿度を制御できます。
気密性や換気の状態で変わってしまうかもしれませんが、我が家においては30ml/坪を目安に加湿器を適当に配置して制御しています。

※m3の表記は立方メートルの意

例えば、外気温が2℃で湿度が55%の時、外気の水蒸気量は5(g/m3)×55%≒2.6(g/m3)
エアコンはこの空気を取り込むので、この水蒸気量が直接室内の水蒸気量になります。(トイレや水回りからの気化や、発汗は考慮せず)
この2.6(g/m3)の水蒸気を含んだ空気を21℃まで暖めると、飽和水蒸気量はおよそ18g/m3なので、湿度は14%程度になり、静電気がすごくなります。たぶん、体に良くない感じです。やばいです。
せめて室内湿度35%にはしたいので、その時必要な水蒸気量は6.3(g/m3)なので、3.7(g/m3)加湿します。
ここで例えば40坪のおうち(132u)の堆積を考えたい。
おそらく一般家庭の天井の高さは240pなので、132u×2.4m=317m3で、必要加湿量3.7(g/m3)なので、317m3×3.7(g/m3)≒1173g≒1.2L
まとめると、40坪の家では、外気温2℃で湿度55%の時、室内21℃に保ちながら、湿度35%にするための必要加湿能力は1.2L/時(1坪あたり30ml/時)。
合計が1.2L/h以上になるように加湿器を適当に配置すれば、湿度管理は達成です。
この時、加湿器の説明書の加湿能力が同じなら、スチームでも気化式でもハイブリットでも超音波でも同じ加湿効果が期待できますが、
次は消費電力を是非考えてください。
終日、暖房するので加湿も終日行わなくてはいけません。
500mlの加湿能力のある加湿器を終日使い続けると、おおよそ気化式の場合の電気代は、月300円、ハイブリットで1500円、スチーム式は5300円です。40坪の家の場合、気化式1.2Lなら月720円で済むところ、スチーム式では、月12720円もかかってしまうので注意したいところです。

ちなみに、石油ストーブを用いた場合、石油1Lから1Lの水蒸気が発生するのですが、2014年1月の坪あたり41.55kwhの電気使用量から、これが40坪の場合1662kwh/1月。1時間あたり平均2.2kwh。ここから発生する水蒸気はおよそ220mL/時。加湿量が1.4mL./hになった時、
1400(g/m3)÷317m3=4.4(g/m3)外気より増える。外気が2.6(g/m3)だったので、室内は7(g/m3)となり、室温21℃の時湿度は39%程度になる。
よって、石油ストーブなど石油ガス暖房は、湿度を4%ほど高める効果が期待できる。

C1kwを発熱するのに必要な料金のまとめ

○オール電化(電化上図プラン)「春秋冬」1kw=平均22円
夜23:00〜7:00…12円 昼10:00〜17:00…32円 朝夕…26円
夜、増えることを考慮した平均

○オール電化(電化上図プラン)「夏」1kw=平均29円
夜23:00〜7:00…12円 昼10:00〜17:00…39円 朝夕…26円
昼、増えることを考慮した平均

○低圧電力1kw=23円
基本使用料が高額なので、それを考慮する

○カセットガスストーブ1kw=33円
250mLのガスボンベ100円のものを使用した場合

○灯油1kw=0.1L=9円

おしまい。

(C)GOTO Takasi